パブリックに関わるキャリアを考える 第6回【イベントレポート】– 外資系企業におけるパブリックアフェアーズのキャリアとは –

イベント

2021年11月16日(火)に、マカイラ株式会社の主催イベント「パブリックに関わるキャリアを考える 第6回」を開催しました。

今回ゲストとしてお迎えしたのは、 Google 日本法人で政府渉外・公共政策のマネージャーを担当されている安永修章さまです。

第6回目となる本イベントでは、外資系企業の第一線で政府渉外担当としてご活躍されている安永さまに、キャリアの形成に対するお考えや、パブリックアフェアーズのお仕事への適性についてお話いただき、公務員や民間企業の政府渉外をご担当されている方など、多くの方にご参加いただきました。

安永修章さまプロフィール
2002年早稲田大学卒業。早稲田大学大学院にて芸術学修士・経営学修士取得。2009年にワシントンD.C.にて日米研究インスティテュートの事務局長兼リサーチャーを務める。その後公益財団法人米日カウンシルにて渉外担当ディレクター、Uber Japan株式会社にて政府渉外部長、事業戦略部長を歴任し、現在Google 日本法人 公共政策・政府渉外部マネージャー。

※役職等はイベント開催当時のものです。

イベントの様子

イベントの前半では、マカイラ株式会社コンサルタントの箕輪祐樹が進行を務め、安永さまのGoogleでの政府渉外のお仕事やこれまでのキャリア、パブリックアフェアーズの業界で必要なスキルなどについてお話しいただきました。安永さまご登壇の様子を一部ご紹介いたします。

箕輪祐樹(以下、箕輪):PA業界に入る最初のきっかけはなんでしたか?

安永修章(以下、安永):2009年から5年間、米国ワシントンD.C.のシンクタンクに勤めたことです。当時私は大学職員として、日本の複数の大学が共同で日米関係について研究するシンクタンクの立ち上げに関わりました。ワシントンD.C.で国際関係の議論が醸成される現場を体験し、そのダイナミックさに面白さと自分の適性を感じました。

それからはずっとこの領域でキャリアを歩んできています。

箕輪:その適性とは、どのようなものだと思われますか?

安永:「どれだけ人から嫌われないか」ということです。政府渉外の仕事はパブリックリレーションというように、人との繋がりがコアにあると思います。そこから各会社・仕事のための枝葉となる専門的な知識が広がりますがそれは入社後に学び続けることができます。

どんな会社でも、PAの仕事には公務員、地方自治体や政治家の方々とお話しするための根本のスキルが必要です。

箕輪:ワシントンD.C.でのご経験の中で、どのようにその力を磨かれていったのですか?

安永:私の場合、ワシントンD.C.で働いたときは知識がゼロで、省庁間の縦割りも今ほど理解していなかったので、臆面もなくいろんな方に質問していました。それが一つ、シンクタンクという中立機関を運営する中でうまくハマったと思います。

ワシントンD.C.って実は京都みたいな街で、基本一見さんお断りなんです。省庁や企業からの出向だと2〜3年で帰るので、現地の人に「この人と仲良くなってもすぐ帰っちゃうよね」と思われて、うまく懐に入れないんですよね。私の場合は同僚がいなかったので、アメリカの社会に入らざるを得ませんでした。

当初の予定よりビザを伸ばしたので「この人はすぐには帰らないみたいだ」と思ってもらえたこと、また日米関係の新しいシンクタンクとして話題になってたということと、私が何も知らない若手ということで、気にかけてくださる方々がいました。

そして現地の政府関係者やシンクタンクの研究員と仲良くなり、週末のホームパーティなどに呼ばれて、そこで初めてアメリカ人のコミュニティを知りました。そのネットワークの内側に入ることができて、それから仕事がやりやすくなったことを覚えています。

箕輪:働かれる中で、何か目標はお持ちですか?

安永:今までの経験から、「現状維持はしない」ということは決めています。特にGoogleでは次々と自分の知らない新しい領域の仕事が振られるので、常にアップデートするというマインドを持っていてよかったと思います。自分が全く知らないことを振られた時に「やります」と言えるかどうかです。

転職でも、全く知らない業界から声をかけられたときにやっていけるかどうかで悩む人が多いと思いますが、自分の中でチャレンジを受ける覚悟があるというのが重要だと思います。

箕輪:今後のキャリアの目標やイメージはございますか?

安永:自分のコアとなる知識やスキルが欲しいです。コミュニケーション能力だけでは公務員や政治家などの方々と話をするには足りません。現在は働きながらロースクールに通っており、彼らが日常的に使う言語である法律を学んで足場を固めたいと思っています。

仕事をしながら学びつつ、知識を得てアップデートして、政府渉外・パブリックリレーションの分野で今後もキャリアアップしていきたいです。

質疑応答

イベントの後半は、マカイラ株式会社コンサルタント・パブリックポリシーキャリア研究所所長の草野百合子が質疑応答の進行を務めました。

参加者からの「Googleの政府渉外の特徴」や「社内の調整をどのように行っているか」などパブリックアフェアーズの実務に関する質問や、「政府渉外におけるスキルの磨き方」「今までのお仕事の中で特に成長した場面」などキャリアに関するご質問まで多岐にわたりお答えいただきました。

質疑応答の一部をご紹介いたします。

参加者:私は公務員なのですが、行政と民間企業の連携の場面では行政側からどのようなアプローチがあれば民間企業は協働しやすいのか、お伺いしたいです。

安永:たとえばその仕事が、どのように日本の社会にとってプラスになるのかを示して話を持っていくと良いと思います。

また、全く交流がない状態だと身構えられると思うので、まずは民間の人たちとパーソナルな関係を築いてうまく繋げれば、議論に入っていけるケースもあると思います。

参加者:私も安永さん同様公務員出身ではないのですが、公共政策のお仕事を始めました。公務員のバックグラウンドがないからこその価値を出していきたいと思っているのですが、安永さんはどのようなことが求められているとお考えでしょうか。

安永:私も、自分がGoogleで求められているのは公務員出身ではないからこそできることだと思っています。

ビジネス的な感覚を持っているということやディフェンシブでなくプロアクティブにパブリックポリシーを変える役割を担うことが、自分に求められることだと思います。

 

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制作:PublicAffairsJP編集部

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